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ミステリの祭典

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黒猫の小夜曲
死神シリーズ

作家 知念実希人
出版日2015年07月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2018/01/30 22:31登録)
成仏できず地縛霊となった魂の未練を解消し、「我が主様」のもとへ送り届けるべく黒猫の姿となって派遣された「僕」。僕は記憶をなくした魂から、昏睡状態の女性真矢に入り込ませてくれと懇願され、覚醒した彼女に飼われることになる。そして真矢に案内されて地縛霊のもとに向かうが・・・。

『優しい死神の飼い方』に続く「死神シリーズ」第二弾。
前作よりも本格度はかなり高くなっており、そのぶんファンタジー色が若干薄れている感触です。

第一章を読み終えた時点では、一応魂の救済に成功し解決を見ますので、連作短編集なのかと思いましたが、中身は各所で「僕」が本来の仕事をこなしながらも、人間の魂に干渉し猫視点からの謎解きを披露するという、やや風変わりな流れを持った本格ミステリです。
前作同様ハートフルな部分を残しつつ、地縛霊が現れるたびに不穏な医薬の研究所が関わってくる、サスペンスを湛えたストーリー展開になっています。ドッペルゲンガーや度重なる入れ替わりなど、魅力的な謎で牽引する意外にも骨太のミステリに仕上がっているのではないかと思います。
また前作で主役を演じたゴールデンレトリバーの死神も友情出演し、結構重要な役どころを演じています。犬と猫の最強タッグのコンビネーションは、一種の爽快感やふんわりした温かい雰囲気を醸し出します。
本当に人間が死んだら「主様」のもとで平和に暮らせるといいんだろうなと、ふと思ったりもします。そんな優しい気持ちで作者も本シリーズを著したのかもしれませんね。

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