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ミステリの祭典

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タイタン・プロジェクト

作家 A・G・リドル
出版日2017年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 小原庄助
(2018/01/29 23:00登録)
核戦争や環境破壊、コンピューターの暴走に隕石衝突。SFはさまざまな原因による人類滅亡の危機を描いてきた。この作品も人類の危機を描いているが、その真の原因は、これまで書かれたどのSFとも異なっている。
物語は飛行機の墜落事故の場面から始まる。救助隊は一向に現れない中、生き残った女性作家ハーパーは、乗り合わせたベンチャー投資家や医学研究社者と、時に「どうすればより多くの人を救えるか」を巡って対立しつつも、協力して難局に立ち向かっていく。
だが、かろうじて窮地を切り抜けた彼らの行く手に現れたのは人間の気配が全くない、廃墟と化した未来のロンドンだった。彼らは飛行機ごとタイムスリップしていたのだ。
やがて、人類の危機もタイムスリップも、「未来」において関与する、ある「プロジェクト」が引き起こしたものだとわかってくる。より便利で、より豊かで、より長生きできる世界を目指して生み出された画期的な発明が、かえって人類の滅亡を早めたのだった。彼らが未来に連れてこられたのは、それを回避するためだったが、その方法を巡って、さらなる争いが起きる・・・。
野心や憎悪だけでなく、理想や愛情をもまた危機をもたらすことがある。はたして彼らは世界をやり直せるのか。読みどころ満載のエンターテインメント作品。

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