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ミステリの祭典

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あしたはれたら死のう

作家 太田紫織
出版日2016年12月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 メルカトル
(2018/01/26 22:21登録)
「あしたはれたら死のう」と書き残した翌日、橋から飛び降りて自殺未遂をした高校一年生の遠子。彼女は感情の一部と数年間の記憶を失ったため、なぜ自分が自殺をしようとしたのかが分からない。同時に自殺した少年と自分の自殺動機を探るため、遠子は友人や少年の母親に接近する。

正直、この人はこんなに人間を描くのが下手だったのかと思うくらい、登場人物に血が通っていないように感じられて仕方ないです。感情表現や心理描写といった部分に関して言えば、全くできていないと思います。主人公の内面がダイレクトに伝わってきません。
さらになかなか事態がテンポよく発展せず、もやもや感やらイライラが残ります。これといった盛り上がりもないまま淡々とストーリーが進行し、残りページ僅かになってどうにか自殺の動機が見えてきますが、どうもスッキリしません。少年がなぜ○○をしたのかもぼかしてありますし、彼を自殺に追いやった人々に関しては怒りを感じるものの、同情するまでには至りません。
前述したようにあまりに人間が描かれていないため、誰にも感情移入できないのです。これはこうした作品にとっては致命的ではないでしょうか。せめてどこかに心動かされる場面がないと、どうしても評価は低くならざるを得ません。
畢竟、私にとってはどう解釈してよいのか判断できない凡作としか言えないのでありました。

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