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ミステリの祭典

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模型人形殺人事件
田名網警部シリーズ 別題「冷たい眼」

作家 楠田匡介
出版日2017年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2019/02/08 23:12登録)
(ネタバレなしです) 戦前の1930年代に執筆開始していますが本格的な活動は戦後になってからの楠田匡介(くすだきょうすけ)(1903-1966)はトリックメーカーとして知られ、特に脱獄を扱ったユニークな短編ミステリーは高く評価されています。1949年発表の本書は初の長編作品の本格派推理小説です。開始わずか2ページで起こった殺人事件の現場は準密室状態で、死体をマネキン人形が見つめているだけでなく凶器と思われるピストルにはその人形の指紋が付いているという異常な事件です。その後も人形の首が盗まれたり、人形そっくりの謎の女性が登場したりとプロットは変化に富みますが展開が急過ぎて読みづらい一面もあります。トリックメーカーらしくトリックを沢山用意してはいますが、こちらの説明も駆け足気味で整理不十分に感じてしまいました。名探偵役かと思われた田名網警部は犯人の正体はつかんでいたようですが主人公らしさに欠けており、真相の大半を語る別の人物に「負け」を意識する有様です。

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