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ミステリの祭典

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ババ・ホ・テップ

作家 ジョー・R・ランズデール
出版日2009年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 猫サーカス
(2018/01/22 17:32登録)
老人養護施設を舞台にプレスリーとケネディだと思い込んでいる老人二人が、化け物相手に闘う奇想天外な表題作は、老人の妄想と現実が見事に混然一体となり楽しませてくれる。一番印象に残ったのは、「草刈り機を持つ男」。隣で草刈りをしていた男に、じわじわと生活に侵入される不気味さが、リアルなエピソードを重ねて巧妙に綴られていく。ラストも上手い。少年三人組の一人がワニに食われてしまう「ステッピン・アウト一九六八年の夏」は悲劇なのに笑える。負のスパイラルのシニカルな描き方が絶妙だ。ボクシング試合の日にハリケーンが襲う「審判の日」は、登場人物たちのセリフのやり取りが軽妙で、随所でニヤリとさせられる。どれを読んでも外れのない充実した短編集。

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