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ミステリの祭典

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いつか、眠りにつく日

作家 いぬじゅん
出版日2014年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2018/01/15 22:21登録)
森野蛍は修学旅行の途中、東名高速浜松インター付近で玉突き事故に巻き込まれた。眠りから覚めた彼女は、なぜか自分が制服を着て部屋で寝ていたことに不審を覚える。しかも見知らぬ男に蛍は「お前は死んだんだよ」と告げられた。母に助けを求めたが、自分が透明で生きている人間には見えないことを思い知らされるだけであった。

そして、蛍は見知らぬ男クロがあの世への案内人であることを知らされます。目的は彼女が未練を残したことを解消するため。蛍は地縛霊に遭遇し、様々な経験をしながらクロの協力を得て、未練を残した三人の相手に会いに行きます。
真っ当なファンタジーです。しかし、泣かせどころのツボは抑えており、各所に落涙ポイントが用意されています。暗く、そして重くなりがちなテーマですが、蛍の明るいキャラとクロのぶっきらぼうな優しさで、軽快な読み心地になっています。この辺りは読者層を鑑みてのことだと思われます。主に若年層をターゲットにしているのでしょう。

なんとなく読み流してしまいそうな作品ではありますが、油断していると足元を掬われます。意外な結末にはさすがに驚きを隠せません。子供向けのファンタジーと言えども舐めることなかれ、鮮やかな着地を決めてくれます。こういう時なんですよね、読んでよかった、自分を信じて良かったと思えるのは。タイトルも秀逸だと思います。

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