home

ミステリの祭典

login
死を見る僕と、明日死ぬ君の事件録

作家 古宮九時
出版日2017年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2018/01/13 22:18登録)
近い未来における人の死を幻視できる「僕」神長智樹は、近々死ぬはずの人々に何度も声を掛けその「死」を未然に防ごうとしたが、その度に失敗し挫折していた。そんな時、ある公園で見かけた女子大生の鈴子に思わず「君は、もうすぐ死ぬんだ」と言ってしまった。しかし、彼女は他の人のように無視したり怒ったりせず素直に話を聞いてくれた。
その後二人は理不尽な死を迎えようとしている人達を救うため、お互い協力し、必死になって奮闘するが。

『事件録』というからには一応ミステリっぽい作品だろうと思いながら読み始めましたが、ファンタジー色の濃い青春ミステリなのかなという印象です。主人公の二人は惹かれ合いながらも、それぞれの立場でなんとか未来の死から人々を救っていきます。
ただ淡白な文章のせいか、それほど感動的な作品に仕上がっているとは言い難いところがあります。また、人のことは言えませんが、若干日本語が文法的に間違っているのでは?と思う点がままあります。それでも一生懸命書いているんだろうなというのは伝わってきます。

途中までは二人の活躍がなかなか面白く、それなりにスリルがあって好ましく感じます。しかし突然疑問符が三つくらい頭に浮かぶことになります。あれっと思って少し遡り読み返して、さらに進んでやっと理解できるようになります。ここが本作最大の仕掛けで、ミステリとしての面目を保っているようです。
帯に「二度読み必死!!」とありますが、あながち間違いでもなさそうですね。文体が気になりますが、なかなか面白かったですよ。

1レコード表示中です 書評