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ミステリの祭典

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深夜百太郎 出口

作家 舞城王太郎
出版日2015年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2017/12/27 21:59登録)
舞城王太郎版百物語ってことです。出口があるなら当然入口もあるはず、と思われた方は鋭い、正解です。本来なら入口から入るべきですが、世評を信じて敢えて出口から入りました。面白いと言うか、怖いと言うか、ただストレートな怪談話ではなく、目線や角度が普通の感覚とは違ったものとなっています。

東京都調布市と福井県西暁町の二つの舞台の物語が交互に並んでいます。最長で25ページほどでも、50もの怪談がズラリと揃うと壮観ではあります。
少年や若い主婦を主人公にしたものが多く、実に不可解な出来事や幽霊などの怪異が襲いますが、どこか切迫感がなくリアリティに欠ける気もしますが、それも独特の読み味なのかもしれません。不条理であったり、不気味だったり、気色悪かったり、心底怖かったりします。また必ずしもオチがあるとは限りませんし、整然と理屈で片づけられていない場合も多々ありますが、まあ怪談や都市伝説なのでこれはこれで良いのでしょう。
一話に一枚ずつ有名らしき写真家の作品が挟まれていますが、こちらは物語とはあまり関係なさそうなのが多く、あまりピンときませんでした。たまにハッとするような写真もあるにはありますが、多くはこんなものかなと首を捻りたくなる感じです。

個人的には七十太郎(七十話)の『保留中の黒電話』が最も印象に残りました。15ページの中に泣かせる要素が満載で、思わず落涙する私なのでした。感動の物語です、怪談なのに。

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