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ミステリの祭典

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ブラックボックス

作家 篠田節子
出版日2013年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 猫サーカス
(2017/12/20 18:48登録)
この作品は、食の最前線で起こる不気味な様相を描いた問題作。完全無欠なはずのシステムに、次々と想定外のトラブルが起こる。どれほど調べても明確な因果関係は不明。そればかりか個人の告発は握りつぶされ、マスコミは問題を単純化して、犯人捜しへと向かう。安全を重視するあまり、無菌状態を追及する社会は、感染症の流行を防ぐ一方で、人からタフな免疫力を奪うのだろうか。本作を読むと単に食の問題のみならず、現代日本のありとあらゆる脆弱さや過剰なアレルギー反応を連想する。さらに外国人労働者、職場のセクハラ、地方の人間関係などの問題がテーマと絡み、巧みに展開することでドラマの妙が生まれ、他人事と思えない不安が増幅する。描かれているのは単純な善悪で決められない、この世界の複雑で醜悪な現実そのもので考えさせられる。

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