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ミステリの祭典

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徳川家康

作家 荒山徹
出版日2009年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 小原庄助
(2017/12/19 10:14登録)
家康の影武者になった朝鮮人・元信が、関ケ原で急逝した家康に代わり日本の支配者となる奇想天外な物語を作り、隆慶一郎の名作「影武者徳川家康」に挑戦状をたたきつけている。(喧嘩売ってる?)
祖国を侵略した豊臣家を滅ぼすため、元信が特殊能力を持つ3人の朝鮮人忍者を操れば、豊臣家との和平を望む2代将軍秀忠は、元信を倒すために柳生宗矩に救いを求める。それだけに、ほぼ全編が忍者や剣豪が入り乱れるアクション場面になっており、その迫力には圧倒されてしまうだろう。
元信が大阪城を2回攻めたのは、朝鮮出兵の時にに日本軍が2度の猛攻で落とした晋州城の悲劇を再現するためだったなど、著者は正史を巧みに読み変えながら家康=朝鮮人説を補強していくのでリアリティーがある。有名な事件を見たこともない姿に改変しながら、史実と矛盾なく派手なチャンバラを織り込んでいるので、全く先が読めないスリリングな展開が堪能できる。
元信は侵略者を撃退した勝者として日本に君臨、以後は日本人が朝鮮出兵を考えないように陰謀を進める。これは真珠湾を攻撃された米国が、最終的に日本を占領した事実と重なり、戦国時代の朝鮮人が、戦後の米国と同様に日本人を再教育するようなシニカルな展開だ。
同じような占領政策なのに、米国の統治は日本人の誇りを喪失させたと被害を訴える一方、日韓併合は日本が朝鮮の近代化を促進させたと評価する一部の保守論客のダブルスタンダードへの皮肉のように思える。

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