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ミステリの祭典

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イフからの手紙
湯川幸四郎シリーズ

作家 湯川薫
出版日2000年09月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2017/12/16 08:54登録)
(ネタバレなしです) 2000年発表の湯川幸四郎シリーズ第3作の本格派推理小説です。多くの謎が提示されますが墜落したはずの人間が消える、電車が消える(しかも時刻表に載っていないという、登場からして謎めいてます)、沼が消えるなど消失事件が印象的です。秘境めいた地方を舞台として主人公たちによそよそしい村人たちを登場させているのがこれまでの作品にない特徴ですが、人物描写や雰囲気描写があっさり過ぎなのは少々惜しいですね。その分洗練されて読みやすいとも言えますけど。2つのメイントリックはミステリー的に時代遅れのトリックではと思わせるものですが、科学的な考証を加えることによって成立可能ではという説得力を強めています。ただ5章で説明されるトリックは図解が欲しかったし、6章で説明される(エラリー・クイーンの某作品を連想させる)トリックについては成立条件が特殊な上に隠された動機とも関連しており、読者が事前に予測できそうには到底思えませんでした。

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