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ミステリの祭典

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てのひらたけ

作家 高田侑
出版日2009年05月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 猫サーカス
(2017/12/07 21:22登録)
作者ならではの深みをたたえた奇妙な話が並んでいる。表題作は、ありふれた怪談のような話で始まりながらも、女性の「ひかがみ」の美しさ、声や匂いの魅力など、五感を刺激するあやしい描写にあふれており、たちまち物語に引き込まれてしまう。他の収録作も、ある意味、不思議な空間や次元に入り込み、ありえないはずの世界が、いつの間にか現実と入れ替わっているというストーリーが基本になっている。曖昧な虚実の境界が溶けてゆく怖さ。そして幸せと不幸は表裏一体。ラストには、懐かしさ、後ろめたさ、愛おしさといった複雑な感情が、一度に合わせて喚起させられる。実に切なく甘美なホラー作品集。

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