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ミステリの祭典

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柿のへた

作家 梶よう子
出版日2013年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 小原庄助
(2017/11/29 10:39登録)
小石川御薬園で働く同心の水上草介が、薬草の知識と温和な人柄で、さまざまなトラブルを解決する人情捕物帳の連作集。
事件を通して弱者の苦労を知った草介が、薬草栽培の特技を生かして、社会を改革するために、小さな一歩を踏み出す展開は、若者の成長を描く青春小説としても秀逸。また、草介は誰も傷つけず、問題を穏やかに終息させるために尽力するので、読むだけで優しい気持ちになれる。
草介に片思いをしている女剣客の千歳と、恋愛への関心が薄い草介との仲がどのようになるかも物語に花を添えていて、最後まで飽きさせない。人の和と思いやりを第一にして地道に生きる草介は、出世や金儲けに汲々とするのとは別の価値観があることを教えてくれているようにも思える。

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