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ミステリの祭典

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緑の窓口~樹木トラブル解決します~

作家 下村敦史
出版日2017年08月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 人並由真
(2017/11/26 10:06登録)
(ネタバレなし)
「僕」こと24歳の天野優樹は、区役所の生活課に所属。生活保護関連の業務をしているが、ある日、公園の樹木相手に奇行を披露する同世代の愛らしい女性を見かけた。そんな折、天野は、イケメンでさばけた性格の岩浪先輩とともに、環境対策課に新設された「緑の窓口」への転属を命じられる。そこは市民が抱える植物全般とその周辺の問題を解決する部署だった。そしてその業務のなかで天野は、先の女性=樹木医の柊紅葉(ひいらぎくれは)と再会するが。

 専門職の知識や素養がバラエティに富んだ市井の事件やトラブルを解決していく、いわゆる<ブラック・ジャックもの>の連作。新世代・社会派の作者がなんでまたいきなりこんなもん、という感じだが、ご当人や担当編集者的には作風の幅を広げようなどの考えがあるのだろう。
 マジメで愛らしく人間臭いがどっかズレてる紅葉のキャラはこの手の作品としてはスタンダードで、よくいえば安心して読める、悪く言えばあちこちによくある「日常の謎」+専門分野ものの連作のひとつ。
 全6本が収録され、途中から伏線を張られていた紅葉の葛藤にも最終話で決着がつくが、その着地点についておおむねの予想が早々とついてしまうのはなんとも。
 ただ第五話の<植物テーマの連作の一つにそのネタをかぶせるか>という作りなどは、いかにもこの作者らしい手応えだった。

 クラス会に行って帰る電車の中で読んだが、道中のお供にはちょうど良い一冊であった。

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