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ミステリの祭典

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プロメテウスの涙

作家 乾ルカ
出版日2009年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 猫サーカス
(2017/11/25 19:49登録)
大胆な趣向を取り入れたホラー長編。北嶋涼子のクリニックに、あや香という少女が訪れた。母親によると、突然人格が変わり、奇妙な動きをし、奇声をあげ、注意してもやめようとしないという。一方、学生時代に涼子と親友だった浅倉祐美は、留学先のアメリカで不死の体をもつ死刑囚と出会う。全身がんに侵され、ほとんど死にかけていながら何年も生き続けていた。やがて両者をつなぐ思いも寄らない事実が判明する。親友同士が同時期に事件の当事者と出会うなど、ご都合主義的な設定もあるのだが、場面ごとの状況や物語の展開がリアルに描かれているせいか、そんな偶然性を深く考えないまま一気にラストまで読んでしまった。作者は、現実味のある細かい描写を、丹念に積み重ね、およそあり得ない超自然的な出来事を生々しく物語っている。この迫力は半端なものではない。

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