home

ミステリの祭典

login
ジグソーパズル48

作家 乾くるみ
出版日2019年03月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 E-BANKER
(2025/07/21 13:28登録)
「小説現代」誌を中心に発表された各短編をまとめた連作短編集。
すべて「私立曙女子高等学院」という名門女子高が舞台。
単行本は2019年の発表。

①「ラッキーセブン」=ひとりの女子高生が考案した新しいカードゲーム。「大富豪」(地域によっては「大貧民」?)のルールを取り入れたゲームなのだが、これがなかなか単純なようで、人間心理をついた奥の深いゲーム。で、なぜか敗者は頸をはねられて殺される設定に・・・。だからみんな必死!(当たり前だ!)
②「Give me five」=舞台はカラオケBOX。二組の女子高生しか入室してないうえに、二組とも曙の生徒。で、合流したとことが、とある生徒が持ち込んでいた高級イチゴが誰かに食べられていた!っていう事件。探偵役の店員は各自のアリバイまで調べだしたし・・・
③「三つの涙」=今度は殺人事件のお話。なのだが、現場のお隣の部屋の娘は曙の生徒で、捜査に当たる刑事の娘も曙の生徒、ついでに被害者が生前最後に訪れたスーパーのレジ店員の娘も曙の生徒だった・・・。そして事件のカギとなるのが「アイスの実」(ぶどう味)です。
④「女の子の第六感」=そりゃ鋭いよねぇ・・・。男ではかないません。
⑤「マルキュー」=曙女子高校には、いわゆる「選抜クラス」があって、それが各学年の9組。それを「マルキュー」と呼んでいた・・・。ということで、9組に編入されたひとりの美少女をめぐるストーリー。みんなが少しずつ協力して、少しずつ分け与えて、少しずつ我慢すれば、きっと成功するっていうお話。
⑥「偶然の十字路」=現場となった校舎の平面図も挿入され、ミステリっぽいお膳立てがされた一編。十字路となっている廊下の真ん中で誰かに殴られ失神した女子高生。容疑者は7人。ただ、途中で思いもかけぬ事実が・・・
⑦「ハチの巣ダンス」=幼馴染のふたり。当然、曙女子高の生徒。ふたりともハーフの美少女。なのだが、最初からどうも主語や文体がおかしいと思っていたら・・・そういうことか。種明かしされてもちょっと分かりにくかったな。

以上7編。
作者・乾くるみ。1963年生まれ。2019年当時56歳。さすがである。女子高生になりきっての執筆(なのかな?)
分類するなら「日常の謎」ということになるのかもしれないけど、どれもラストに気の利いた「ひねり」が待ち構えている。この当りはまさに作者の十八番だろう。
タイトルに「数字」の入った短編集を以前から発表してきた作者だから、これもその一環だろうと考えてきたけど、これって、いわゆる「48」グループのこと?
まあどうでもいいけどね。
(個人的ベストは①。今となっては女子高なんて異世界だよな)

1レコード表示中です 書評