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ミステリの祭典

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人間椅子 乱歩奇譚
アニメ「乱歩奇譚」ノベライズ

作家 黒史郎
出版日2015年10月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2017/11/11 22:07登録)
始業前の教室。中学生の小林少年は目が覚めると、教壇の上に担任教師の死体が胡坐をかいて座っているのを目撃する。しかし、その死体には頭部が欠損しており、その姿はまるで椅子のようであった。
やがて容疑者として身柄を拘束された小林少年は、高校生で名探偵の明智に「自分の力でこの事件を解決して見せろ」と言われるが・・・。

本作はアニメのノベライズ作品です。原案は江戸川乱歩、原作は乱歩奇譚倶楽部だそうです。私もその辺りの事情には疎いので何とも言えませんが。いえ、ちょっと待ってください、そこの貴方。「所詮アニメだろう?そんなもの読めるかい」そう思われるのも分かりますが、これが意外と面白いのです。
乱歩とは方向性が違いますが、その変態的なスピリットは脈々と受け継がれています。人間でもない、椅子でもない、まさにそれは「人間椅子」であります。
ミステリとしては小粒に違いないですが、主にフーダニット、ホワイダニットに特化した優れた作品だと私は思います。少ない登場人物の中から果たして小林少年は誰を犯人として指摘するのか、そこにはしっかりと伏線が張られているのも高評価。
担任教師の心理状態、真犯人の心の闇なども克明に描かれており、単なる『人間椅子』をモチーフにしただけの紛い物とは事を異にします。

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