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ミステリの祭典

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R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室
箱崎ひかり&防二

作家 古野まほろ
出版日2017年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2017/11/11 18:12登録)
(ネタバレなし)
 2020年の東京オリンピックを経て、治安悪化の一途を辿る近未来の首都圏。史上初の女性総理・上原英子は、政敵である副総理で国土交通大臣の鶴井轟太を牽制しながら次期総選挙への布石を打つ。そんな中、鶴井派である警視総監・神保勝久を狙う奇怪な襲撃事件が発生。上原総理の直轄である特殊防犯対策部隊「防二」こと「サッチョウ・ローズ」の女性たちは、伝説的な謎のサイバーテロリスト「ワスレナグサ」の正体を探りながら、規格外れの疑獄事件の中に踏み込んでいく。

『身元不明』の主人公・箱崎ひかりが再登場。今回のひかりは女ワイルド(『ワイルド7』)かナイトセイバーズ(『バブルガム・クライシス』)みたいな個々に特化した能力を持つ女子部隊を率いて活躍するが、本作での実質的な主役はチームの前線リーダー格である「戦争屋」こと時絵主任警部が担当。カバージャケットに描かれているのも時絵の方である(これは公式サイトの告知からわかる)。当初は、えー、これがひかり? かと思ったが新ヒロインでした。うん、納得。
(ちなみに本作は<図書館>の設定で別作品『ヒクイドリ』ともリンクしてるんだろうが、そっちはまだ読んでないので知らない。)

 今回のまほろ作品はゆるやかな勧善懲悪捜査もの&SF味でちょっと味付けしたアクション路線で、お話はほぼ少年マンガ寄りの青年コミックっぽい。悪党はわかりやすく悪党だし、政界の黒い大物連中もいかにもそれらしい妖怪キャラである。
 ついでに言うと主人公チームが秘める文芸設定は、読んでいて気が付かない人はいないだろうが、まああえてこういう大道芸的なネタを今さらやっちゃう辺りがとても良い。大好きです、まほろ先生。
 ほどよいサプライズとしてのミステリ興味もそれなりに盛り込まれ、なかなか楽しめる一冊ではあった。
 まあ「マンガみたいだ」と怒る人がいてもいいけどね(笑)。

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