(2017/11/11 16:08登録)
(ネタバレなしです) 書かれたのは1940年から1942年にかけてながら第二次世界大戦のため出版が1947年になったフレデリック・ブロシリーズ第3作です。シリーズ第1作ながらブロ最後の事件であった「ブロの二重の死」(1932年)に対して本書は作中時代的には1番最初のようです。シリーズ異色作でもあった「ブロの二重の死」に比べれば本書はある意味対極的に普通の本格派推理小説といえるのですが、ビギナー読者向けとは思えません。「ブロの二重の死」の創元推理文庫版(300ページに満たない)と比べて本書(やはり創元推理文庫版)のページ数は約500ページの厚さがあり、しかも「ブロの二重の死」のよりも活字が小さいため実質的には倍以上の分量です。登場人物が単に多いだけでなく登場人物リストに載っていない人物も多数入り乱れます。第一部第3章のタイトルについて第5章でやっと読者に説明されたり、第二部で番号外の章を挿入したりしているのは作者のお遊びかもしれませんが無駄に冗長にしているだけという気がします。文章もまわりくどい表現が多くて読みにくいです。第二部10章から14章にかけてブロ(ともう1人の重要人物)によって謎解き説明されますがそこで解明されるのは謎の半分だけ。残りは後の章に持ち越されますが、それは(本格派の)推理による謎解きでないという展開も読者の好き嫌いが分かれそうです。
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