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ミステリの祭典

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砧最後の事件
砧順之助シリーズ 別冊シャレード80号掲載

作家 山沢晴雄
出版日不明
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 nukkam
(2017/11/04 23:35登録)
(ネタバレなしです) 山沢晴雄(1924-2013)が79歳にして書き上げた2004年発表の砧順之助シリーズ第4長編でシリーズ最終作となった本格派推理小説です。高齢ゆえ筆が淡白になるというのはこの作者は当てはまりません。緻密で難解な謎解きプロットが持ち味ですが本書は構成までもが入り組んでます。作中作である「見えない通路」で始まり、これの問題編が終わったところでやはり作中作として諏訪警部が手掛ける「唄う白骨」が続きます。これが相当もつれたところで今度は隠岐警部が手掛ける現実の事件の謎解きが始まります。どの謎解きも複雑難解な上に、モジュール型警察小説のように入れ替わり立ち替わりとなるプロットには頭がくらくらします。さらに終盤にとどめとばかりに新たな作中作として「密室1952」が挿入されます。おまけに過去のシリーズ作品を読んでないとわからない仕掛けまであるのです(私は読んでましたがよくわかりませんでした)。砧はシリーズ後期になるほど存在感が薄まってしまいますが本書に至ってはもうシリーズ番外編といってもいいのでは。

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