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ミステリの祭典

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二階の王

作家 名梁和泉
出版日2015年10月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 メルカトル
(2017/11/03 22:18登録)
第二十二回日本ホラー小説大賞優秀賞受賞作。

東京郊外に両親と暮らす朋子には大きな悩みがあった。二階の自室に何年もひきこもって家族に姿すら見せない兄の存在だ。そんな朋子は職場の加東に惹かれるが、兄のことを話せずにいた。
同じ頃、考古学者砂原の残した予言をもとに、『悪因研』を名乗るひきこもり経験を持つ男女六人は<悪因>の探索をおこなっていた。<悪果>の存在を嗅覚で知ることのできる掛井は、同じショッピングモールで働く朋子に心を寄せていた。

冒頭、兄のひきこもり具合を描く辺りは興味深いものがありましたが、そこからなかなか話が進展しません。ホラーと言っても、ファンタジーの要素が色濃く、どちらとも付かない中途半端さが目立ちます。そして、全然怖くありません。
同じような描写が何度も繰り返されるのも鼻につきますし、全般的に底が浅いと感じました。もっと部分的にでも良いので、深く掘り下げるプラスアルファがほしかったですね。ストーリー的にも面白みに欠けますし、一向に盛り上がりません。盛り上がるはずのラストも後日談的に終わらせてしまっており、何がどうなったか詳らかにするのを放棄しているようにしか思えませんでした。
残念ながら、最後までさしたる捻りもなく、平坦な文章に終始し、私を震撼とさせるような小説には程遠かったです。

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