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ミステリの祭典

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世界から猫が消えたなら

作家 川村元気
出版日2012年10月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 斎藤警部
(2017/10/18 22:17登録)
なかなかの感動ある物語、そこへ多少なりミステリ要素が見える一冊となれば当サイトで評せずにはいられません。とは言えその人間関係ミステリ要素 .. 余命わずかの主人公(三十歳の男)は、何故父親と疎遠なままなのか? .. は例えば「災厄の町」なんかに較べたら極めて希薄な、霞のようなものではありますが..

特に前半、何となく断捨離だかタイムマネジメントだかを説く寓話のような感触がありました。それは、本作が小説としてユルユルの構造・細部を露呈しているにも関らず、作者が訴えたい主旨であろう人生指南めいた何かがくっきり提示されている所に、要因がありそうです。。要するに「うざい」と評されかねない要素が芬々なわけですが、どこかで上手にバランスを取って素敵な読み物に仕上げていると思いますね。作者は若き映画プロデューサー。

‘母さん。。。。。。。’ ‘よりによってこんな時に。。。’   父よ。。

頭の中、Stevie B ’The Postman Song a/k/a/ Because I Love You’が終局あたりから流れて来ました。(主人公は郵便配達員)  余韻と言うには拡がりの豊か過ぎるエンディングがたまらなく良いです。

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