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ミステリの祭典

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フォマルハウトの三つの燭台<倭篇>

作家 神林長平
出版日2017年05月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 小原庄助
(2017/10/18 15:59登録)
最先端科学は難解だ。たとえば人工知能(AI)が人間の知性限界を超える「シンギュラリティー」以降の世界がどうなるのか見通すのは、文字通り人智を超える。あるいはそれは、日常生活と魔術や神話が地続きになったような世界かもしれない。
この作品は、伝説の燭台を巡る物語。この燭台を一つともせば自分自身を知り、二つともせば他者の視線で自分が見え、三つともせば世界の真の姿を体感できるという。
そんな神話ファンタジー風な序文で始まる小説の舞台は、なぜか近未来の長野県松本市周辺。おまけに登場人物の多くはとぼけた中年男たち。そこに伝説の燭台や、角のあるウサギ「ジャカロップ」、そして変な機器たちが登場して、型破りな事件を繰り広げる。
人間と機器たちの対話は、ちぐはぐで漫才のようだが、魔法の燭台が照らし出す世界像は衝撃的なものだ。

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