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ミステリの祭典

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フェノメノ 美鶴木夜石は怖がらない
フェノメノシリーズ

作家 一肇
出版日2012年06月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2017/10/14 22:35登録)
此岸と彼岸の境界を軽々超えてしまう謎の美少女、美鶴木夜石。オカルトサイト『異界ヶ淵』の管理人にして、20歳で童顔、巨乳のクリシュナ。二人の美女に挟まれるように次々に怪異に見舞われる主人公の凪人。この三人を中心に進行する青春+怪談の物語。
凪人の東京での新たな住まい「願いの叶う家」では謎のラップ音や迫りくるカウントダウンに悩まされ、曰くつきの廃病院では思わず持ち帰ってしまったノートに呪われ、終いには夢の中にまで怪異に追い込まれるという、憑依体質の凪人は様々な災厄に襲われます。
ところで星海社ってなんですか。見たことも聞いたこともありませんが。講談社の子会社のようですが、一見普通の文庫本ですねえ・・・。いや、一つだけ大きな特徴が。それは今時新潮文庫くらいしかついていないと思っていたスピン(栞替わりのひものこと)、しかも異様に幅の広く青いのが付いているじゃないですか。お世辞にもコスパが良いとは言えない星海社、こんなところで無駄にコストを使っているとは、侮れません。
本作はホラーと青春小説が丁度いい具合に融合した、読み応えのある一冊だと思います。個性豊かな登場人物たちも生き生きしていますし、起伏のあるストーリーも怖さはほどほどに抑えてありますが、物語に入り込みやすい構造になっています。怖いというより面白い、心に残るという作品だと思います。

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