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ミステリの祭典

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カルニヴィア1禁忌

作家 ジョナサン・ホルト
出版日2013年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 小原庄助
(2017/10/06 15:24登録)
前回、評したタイトルと同じ「禁忌」だがこちらはかなり読みやすい。
ベネチアを舞台にした3部作の1作品目。
カトリックでは女性に許されていない司祭の祭服をまとった死体が発見される。
捜査を担当する憲兵隊大尉のカテリーナ、イタリア駐在米軍の少尉ホリー、ソーシャルネットワーク「カルニヴィア」創設者のダニエーレ。
それぞれの視点から物語はテンポよく進み、やがて3人の道筋が交錯、隠されていた暗い真実が浮かび上がる。
行動力があり、上司との道ならぬ恋も辞さないカテリーナに、真面目で芯のあるホリー。はつらつとした2人の女性とは対照的に、女性を蔑視し抑圧してきたカトリックの教義や、ユーゴスラビア内戦時から現在に至る女性迫害の事実が生々しくつづられる。
行き場のない怒りと悲しみがページに渦巻いているようだ。
その重苦しさを払拭するラストでの女性たちの活躍と凛とした生き方に、心の中で喝采を送らずにはいられなかった。

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