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ミステリの祭典

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武蔵

作家 花村萬月
出版日2011年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 小原庄助
(2017/09/22 10:28登録)
剣豪・宮本武蔵を主人公にした歴史小説はたくさんあるが、本作は極めてオリジナリティーが高い。武蔵の出目や、彼と佐々木小次郎の関係など、今までにない着想が盛り込まれている。本書の前半は、白月尼という美貌の尼僧に溺れながら、修行行脚をする武蔵が描かれている。剣の高みに上っていく武蔵の肖像と、彼に魅了された人々との交流が、なんとも気持ち良い。
ところが中盤に、作者らしい衝撃の展開が待ち構えている。そして吉岡一門との戦いを経て、小次郎との対決へとなだれ込んでいく。密度の濃いチャンバラシーンに、何度も興奮させられた。
さらに実験的ともいえる、文章表現にも注目したい。例えば、吉岡一門を武蔵が切る場面だが、100人をどう切ったか、100通りの文章で説明している。これにより、武蔵の行動と心情、さらには吉岡一門の絶望まで伝わってくる。
作者のチャレンジにより、小説の表現方法は無限だと、あらためて確信できた。
感想は6巻のみだが、採点は1巻から6巻までの総合評価にしました。

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