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ミステリの祭典

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社会部長
社会部記者シリーズ

作家 島田一男
出版日1958年01月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 斎藤警部
(2017/09/02 19:01登録)
いつも気ッ風のいい手練れの文章で愉しませてくれる島田一男先生ですが、本短篇集のキレキレっぷりはまた格別!! 余ッ程α波が頭ん中スクランブル交差点を駈け巡ってたんでしょうナ! おなじみ有楽町は「東京日報」社会部の赤鉛筆使い、北崎部長がまた最高に良い! クシャクシャのハンチング、遊軍記者の亀田(亀チャン)もまた最高! 他に桐さん何さん、警察側とか、動きのいい脇役にチョイ役、いィ~っぱい出て来て活躍します。

社会部長(表題作)
解決はどうッて事も無いが、事件はちょッと面白い。要するに羊頭狗肉ってワケだが、何しろシマイチ先生の会話文も地の文も快調に飛ばし過ぎてるモンだから文句など付けられン。昭和の音楽業界の裏で起きた連続殺人。まァでも薄味ミステリだからネ、それでも7点。

三つの仮面
事件解決に直結したラストシーンが堪らなく沁みるんだ。。。。解決そのものは平々凡々、事件はまずまず興味深し。つまりは羊頭狗肉最後にまた羊ってナもん。またもや会話に文章最高。戦後の混乱を引き摺る昭和の失踪事件。親子の情の物語上級篇。やるじゃねえか、アプレの娘。。8点。

泥濘の町
泣けました。もうこれだけでネタバレです。都下の腐敗した街で起きた新聞記者殺し。8点強。

女殺陣師
稽古で使う竹光が真剣に掏り替わって人が死ぬ。ところがこの剣劇団、斬るシーン以外は普段から真剣でチャンバラやり合ってたってんで話がチト面倒。これも解決自体は平凡なもんだが、心に残るエンディング。刃傷からんだ人情話。7点。

三行広告
珍妙な新聞広告はもう出オチのネタバレに見えチャった。。果たしてその通りだったが解決の糸口はなかなか肌理(キメ)細か。某ホームズ譚の応用篇かな。緩さがB級ぽィが悪ヵない。 7点チョィ。

幻の男
某著名作とは関わり無し。自分は狂ってるかも知れない、狂ってないなら命が危ない、と精神科で不思議な陳述をした男が、殺された。魅力ある謎はまずまずの反転解決を見る。でもやっぱり会話文が最高、結末の驚きを上回っちゃってまさァね。7点強。

特ダネ売り
隻腕の彫刻家が持ち込む奇妙な事件ネタ。入れっぱなしって。。歯って、そっちか。。。よろしく⚫️⚫️すべし。。スッと消え行く寂寞のエンディング。こりゃァ独特の味。 8点弱。

アリバイ売ります
河内桃子。。最後の最後で急に話が大きくなった。隠しの巧いブラウン神父直系欺瞞+α。シマイチ流の複雑系タマシイがやっと炸裂してくれたってナ。ショートパス決まり過ぎのラスト数十文字、たまらンね! 8点強!

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