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ミステリの祭典

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家族八景
七瀬シリーズ

作家 筒井康隆
出版日1975年03月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 E-BANKER
(2017/08/01 22:49登録)
~幸か不幸か生まれながらのテレパシーをもって、目の前の人の心をすべて読み取ってしまう可愛いお手伝いさんの七瀬・・・。彼女は転々として移り住む八軒の住人の心にふと忍び寄ってマイホームの虚偽を抉り出す。人間心理の深層に容赦なく光を当て、平凡な日常生活を営む小市民の猥雑な心の内をコミカルな筆致でペーソスにまで昇華させた、恐ろしくも悲しい作品~
ということで「七瀬シリーズ」の第一作目である。

①「無風地帯」=要するに「家族ゲーム」を演じる一家のお話である。でもあとの作品に比べればまだまだ緩い。
②「澱の呪縛」=猛烈に臭い家。でもそれに気付かない家族たち。それを七瀬に知られたと「分かった」家族の反応が・・・たいへんビミョー。
③「青春讃歌」=昔の映画のような明るいタイトルだが、それとは真反対のブラックなラストが待ち受ける・・・。若くなりたい、若く見せたいという願望は決してなくならないんだろうね。
④「水蜜桃」=七瀬に始めてピンチらしいピンチが訪れる。もちろん「アッチ」方面のピンチなのだが、中年男性って奴は・・・
⑤「紅蓮菩薩」=只管に隠してきた七瀬の「テレパス能力」がバレそうになるピンチ! 心理学を専攻する大学教授の家に住み込むことになった七瀬に降りかかる災厄。これもラストがキツイ!
⑥「芝生は緑」=つまりは「隣の芝は青く見える」っていうこと。隣の奥さんってキレイで優しそうに見えるもんね、何となく。でも実際はどうかな?
⑦「日曜画家」=攻撃的な妻と長男に毎日攻められ続ける気弱な夫(父)。そんな夫に七瀬は同情するのだが、実はこの男も・・・。結局男(特にオッサン)ってこんなもんだよね・・・。
⑧「亡母渇迎」=これもラストがキツイ! しかも相当に!

以上8編。
読む前は、『お手伝いは見た!』(by市原悦子)的な作品かと思っていた。
当たらずとも遠からずではあるけど、それ以上に人間の弱さや醜さ、猥雑さ、エゴイズム、妙なプライド、保身、嫉み妬み、etc
そんなものが満載のお話となっている。

七瀬が人の心を読む力を持つ「テレパス」という設定であり、それも当然ということなのだが、特にオッサンたちには耳の痛い言葉や目を覆うばかりの場面がたっぷり出てくるので十分にご注意を!
(特に妻帯者は)

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