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ミステリの祭典

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蜃の楼
薔薇十字叢書

作家 和智正喜
出版日2017年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2017/07/18 22:15登録)
タイトルは『しんのたかどの』と読みます。蜃とは蜃気楼のことで、古書によると大蛤とも龍とも言われています。
物語は簡単にまとめると、連続神隠し事件が起こる昭和二十七年、時空が歪み真か幻か一応主役の関口が時をかけるというもの。霞が関ビル、国立霞ヶ丘競技場、サンシャイン60、スカイツリーなど、時空を超えて関口の前にそれらの建築物が現れます。
やりたいことは解らないでもないですが、正直訳が分からない部分も多々あります。神隠し事件など全くもって説明されません。この「奇書」の前ではそんなもの些事だと言わんばかりに。これはどうなんでしょうか。
所詮パスティシュなので、京極堂はただの解説役。榎木津は珍しく調査らしきことをしようとしてコケます。木場は一応刑事らしき行いをしますが、あまり目立ちません。鳥口も敦子も出てきますが、まあなんと言うか、やはりまがい物感は拭えませんね。
どうしても本家が書かないと締まりがないです。それらしい雰囲気を出そうという努力の跡は見られますが、本物とは程遠いとしか言えません。

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