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ミステリの祭典

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逆風の街
横浜みなとみらい暴対係

作家 今野敏
出版日2003年12月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 HORNET
(2017/06/24 21:30登録)
 「ハマの用心棒」こと、神奈川県警みなとみらい署・暴力犯係係長の諸橋と、相棒城島による「横浜みなとみらい署暴対班」シリーズ。
 悪徳金融業者の苛烈な取立てに心身ともに摩耗した被害者の救済、取立て業者の糾弾に乗り出した諸橋&城島コンビ。だが、捜査が真に迫るにつれ、警察内部からそれを止めるようなブレーキを感じる。その背景が分かってくるにつけ、悪辣な取立てに憤慨していた諸橋も、さまざまな思いに揺れるようになる。
 「社会の害悪、暴力団の排除」。その信念にブレはない諸橋だが、それはただたんに頑固一徹ということではなく、何が正しく、何が間違っているのか、不完全な人間らしい迷いや煩悶に悩まされることがある。そんな時に活路を開くのが相棒・城島の一言。そんな二人の関係が痛快で、このシリーズには惹かれてしまう。
 警察エンタメ的な要素が色濃い著者の作品だが、必ずミステリ(つまり謎の解明)の要素はあり、しかもそれが警察内部の機構を踏まえたうえでの独特な色で面白い。私は「隠蔽捜査」シリーズが大好物だが、それが好きな人はきっとこのシリーズも好きになるだろう。

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