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ミステリの祭典

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マル暴甘糟
マル暴シリーズ

作家 今野敏
出版日2014年12月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 HORNET
(2017/06/11 17:38登録)
 甘糟達夫は、北綾瀬署刑事組織犯罪対策課に所属しているマル暴刑事。ヤクザと見分けがつかない強面ぞろいと相場が決まっているマル暴刑事の中で、真逆の弱弱しい風貌の甘糟は「何で自分が…」と疑問と不満を抱きながら職務にあたっているが、ヤクザ以上に恐ろしい先輩刑事・郡原の前ではそれも言えない。
 ある日多嘉原連合の構成員、東山源一が撲殺される事件が発生。手口や、防犯カメラに映っていた不審な車の様子からは、明らかにヤクザではない「半グレ」の仕業のように見える。弟分を殺された多嘉原連合のアキラはいきり立つが、単純な半グレの犯行という見方に違和感を覚える郡原、甘糟は、アキラをいさめながら、ある意味協力的に真犯人を探っていく・・・

 現場主義の所轄である主人公たちに、エリート然とした捜査一課が加わることになり、始めは反目し合うような雰囲気だが次第に通じ合い・・・という、著者の作品にはよくあるパターンが本作品でも踏襲されている。それでも、その描き方が作品個々で味があり、ワンパターンとは感じさせず、いつも気持ちがよい。
 肝心のミステリの方でも、マルBならではの仕来たりや組織構造が関わってくる仕掛けなので、一般のロジックとは違うが、だからこそ味があってよい。
 常に時代劇のような「勧善懲悪」感がある著者の作品だが、その爽快感が人気の秘密なのではないかと思う。

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