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ミステリの祭典

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任侠病院
任侠シリーズ

作家 今野敏
出版日2013年09月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 HORNET
(2017/06/01 23:23登録)
 所帯は小さいが、地元との関係を大切にし、それなりに地域住民からも愛されてきた阿岐本組。これまでも、経営難に陥る出版社、学校の再建に手を出してきた組長・阿岐本が次に持ち込んできた話は「病院の再建」。「自分たちのような人間が、人道を重んじる病院に関わるなんてとんでもない」―代貸の日村誠司はなんとかなきものにしようとするが、そんな思惑とは無関係に話は進んでいく。しかし、乗り気でない中病院に関わっていく中で、そこで働く「医療のプロ」たちの矜持にいつしか惚れ込み、肩入れしていってしまう—

 絵に描いたような勧善懲悪(ヤクザである以上どちらも悪?)の展開は単純明快だが、むしろだからこそ気持ちいい。ミステリというよりエンタメ小説だと思うが、とはいえ再建する病院に入っている業者の黒幕や、住民の暴力団追放運動の裏側など、一応隠された真相を暴いていく体にはなっている。
 といってもそれは描かれているとおりであり、趣向を凝らした仕掛けがあるわけでもない。とにかくエンタメ小説と割り切って読めば、ひと時の娯楽になることは間違いない。

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