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ミステリの祭典

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夢野久作全集 4
ちくま文庫 夢野久作全集

作家 夢野久作
出版日1992年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 斎藤警部
(2017/05/20 00:22登録)
ちくま文庫の全集より。
福岡県福岡市生まれの作者にとって馴染みの深い九州北部地帯を舞台とした作品集。良い意味で統一感無し。


いなか、の、じけん
旧い時代の九州北部に起きた実在の事件に材を取った、何とも田舎風味のおからクッキーみたいな小品集廿篇(にじっぺん)。
言ってみりゃシーラッハの「犯罪」を思いっきりイナたいスリーコードのカントリーソングで唄い直したような。。冗談です。
「一ぷく三杯」のまさかの真相、笑える凄まじさ!
「蟻と蠅」の変なオチ。。アリバイって言葉がその意味って。。アリバイ破りとか(笑)?
個別コメントはわざと中途半端に上記二作と控えさせていただきますが、他にも掌編から短い短篇までたくさんよ。てか小説以前感満載のメモ書き風も結構ありますが。。昔の田舎の空気が吸えて良いです。

巡査辞職
良い意味でビットが粗い風太郎みてえな結末披瀝。探偵小説と犯罪実話のアイの子の様な。。
ラジオで三晩続けて探偵小説の講話ですって!!! ← 萌える
‘泣きの涙のまま永患いの床に。。’ ‘お蔭で青空が広くなった。。’

笑う唖女
本格色の強い時代イヤミス(昭和初期)。

眼を開く
泣ける日常のサスペンス、時代篇(昭和初期)。

空(くう)を飛ぶパラソル
なんザこれァ 前半本格、後半無惨実話?? ええっッ。。。

山羊髯編輯長(女箱師/両切煙草の謎/真実百%の与太)
二方の探偵役というか化かし役(?)のスッとぼけた関係性も愉しいショート連作。暗く小汚いムウドの第一作冒頭から徐々に明るく快活に推移、これがイイ。新聞見出しの趣向もスンバラシイ。まるで下品になった山田風太郎の様な味わい。

斜坑
旧い時代の炭鉱を舞台に、二人の男の、奇妙に緩い対立を巡る趣き深い物語。
最後の、幻想に支配された一連のシーンとその現実照射の結末は。。

骸骨の黒穂
フランク・ザッパの様に偽悪的な差別の拡大再現に勤しんだのか、それとも本気の差別意識発露なのか。。問題作として大の物議を醸した一品。田舎の居酒屋風景が愉しい導入から、意外にうねる展開と、激しく揺さぶる反転、そしてその後に。。。。。。。。。

女坑主
しようが無えなあ、凄いなあ
最後にもう一落とし無いのが却って怖い。

名君忠之
いいねえ、これぞ豪快。 エンディングが最高に沁み渡ります。


息子さんがあとがき書いてます(上記の「問題作」についても切々と)。 ファンは必読ってやつですか。
全体通すと、ミステリファンてよりは旧い小説好きな人向けですかね。

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