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ミステリの祭典

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最後の医者は桜を見上げて君を想う

作家 二宮敦人
出版日2016年11月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 メルカトル
(2017/05/12 21:58登録)
武蔵野七十字病院副院長で天才的な外科医、福原雅和。彼は患者の命を救うことに情熱を燃やす熱血漢であり、院長の父を持つ。
同じく武蔵野七十字病院の皮膚科に勤務する桐子修司。彼は「死神」と呼ばれ、患者には死を選ぶ権利があるとの信念の持ち主。
神経内科に勤める音山晴夫は穏健派で、犬猿の仲である福原と桐子の仲を取り持ち、七十字病院の未来を三人で切り開いていくという理想を持っている。
彼ら三人が難病と闘う患者と共に、それぞれの立場から患者を救おうと必死になって医師としての使命を果たそうとする物語です。そして第三章ではミステリ的手法を用いており、ついにある人物が運命の病に罹ってしまい・・・。
一読後、この作者は完全に一皮むけて、更なる飛躍を遂げたのだと確信しました。今後は人気作家の仲間入りを果たしそうな予感がします。
本作は医療ドラマを描いた入魂の傑作であり、本屋大賞にノミネートされてもおかしくなかったくらいの、実に立派で素晴らしい作品だと思います。医師、患者本人は勿論、その家族や友人も含めて、過不足なくよく描き込まれており、各シチュエーションで、誰がどんな心理状態なのかが非常によく伝わってきます。
すでに11万部突破のヒットとなっている本作、ミステリではありませんが、敢えて書評したのは一人でも多くの人に読んでいただきたい一心からです。

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