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ミステリの祭典

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赤の殺意

作家 長井彬
出版日1992年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2017/04/28 10:48登録)
(ネタバレなしです) 作者の生前に出版された短編集としては最後のものとなった1992年発表の第3短編集で、6作品が収められています。「千利休殺意の器」(1989年)や「白馬岳の失踪」(1990年)と違って寄せ集め感が強く、「赤」のタイトルが2作、トラベルミステリー風タイトルが3作、どちらでもないのが1作、各短編の発表時期も1982年から1991年までとばらばらです。いずれも本格派推理小説ですがこの作者は長編の方が力を発揮できるタイプだと思います。トリッキーな作品が多く、平凡なトリックでもトリックを成立させるために細かくフォローしているのは好感が持てますがトリックの謎解きで精一杯で、犯人当てとしてはかなり粗さが目立ってしまいました。特に8章から構成される「赤いスーツの女」で最終章になって初めて「誰この人?」を登場させてはまずいでしょう。好き嫌いは分かれそうですがスリラー色濃厚な結末の「オホーツク殺人事件」が異彩を放っています。

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