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ミステリの祭典

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移行死体

作家 日影丈吉
出版日1963年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2017/04/26 11:53登録)
(ネタバレなしです) 第6長編の「女の家」(1961年)は個人的にはミステリーに分類するのがためらわれるような内容でしたが、1963年発表の第7長編である本書は間違いなくミステリーです。ただどうも突っ込みどころが多すぎて困った作品でした(笑)。最初は犯罪小説風に幕開けします。ビルオーナーから立ち退きを迫られている2人の住人がオーナーを殺そうとするのですがオーナーが死んだって問題解決が保証されているわけではなく動機として弱いと思います。第4章で「それくらいのことでオレが殺すとは誰も思わないだろう」とコメントしているのには「それくらいのことで殺そうとしてたじゃないか」と切り返したくなりました。しかし犯行の詰めが甘く、被害者の死亡を確認しなかった上に死体が消失、そして思わぬところでの死体発見となり2人が今度は探偵役となって真相を追究する本格派推理小説のプロットになります。もっとも後ろめたい2人が探偵する目的があやふやな上に捜査と推理が(アマチュア探偵とはいえ)あまりにも行き当たりばったりで、巧妙なミスリーディングがあるとはいえ謎解きプロットとしては読みにくかったです。

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