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ミステリの祭典

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死んでも死ねない殺人事件 熱血バイト娘絵理子と13の謎
島津絵里子&加賀淳平

作家 風見潤
出版日1992年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 nukkam
(2023/03/19 19:05登録)
(ネタバレなしです) 1992年発表の本書は「東京トワイライトクロス」(1987年)の主人公の大学生・島津絵里子を再登場させています。前作で一緒に謎解きに活躍した仲間たちは出番なしですが、代わりに絵里子の5年先輩でSF翻訳家の加賀淳平が協力します。絵里子のアルバイト先であるコンピュータ・ソフト会社で起こった犯罪の謎解きで、(意外にも)絵里子をコンピュータに関しては無知という設定にして、コンピュータ用語を随所で丁寧に教えてもらっています。当時としてはモダンな知識だったかもしれませんけれど、第3章での「コンピュータに四千メガものメモリを入れている人なんて、現実にはいないさ」という(発想がギガでなくメガの)会話など時代の古さを感じさせます(まだインターネットが普及していません)。しかしコンピュータ知識を理解しなくとも鑑賞には問題なし、現場見取り図を挿入して消えた死体の謎解きに真っ向から取り組んでいます。ただこの見取り図、死体の運搬に使われた可能性として議論された非常階段が欠落していますけど(笑)。後半にはサブタイトルにも使われている「13の謎」の全てを満足させる解決を見つけようと苦心する絵里子が描かれており、「東京トワイライトクロス」と比べて本格派推理小説として充実しています。軽薄なイメージのタイトルで損しているように思いますが。

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