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ミステリの祭典

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サンドラー迷路

作家 ノエル・ハインド
出版日1980年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2025/04/22 20:47登録)
1977年に発表された作品。若い弁護士トマスの事務所で放火事件があり、調べてみると、最近死去したヴィクトリア・サンドラー関係の書類が紛失していたところから始まり、第二次世界大戦中のナチスの経済的陰謀に端を発するスパイ事件に発展していく、ひっくり返しの意外性が連続する作品です。しかしこの意外性というのが、同じ趣向を何度も繰り返していて、最後の方はまたその手かと思わせられました。クライマックスの海上でのスリリングな出来事も、その趣向の(部分的)一種と言っていいでしょう。
トマスが、既にスパイ関係の事件だと知っているのに身辺に気をつけないなんて、ちょっと間抜けすぎるのではないかと思えるところがある一方、最後には探し求める相手の正体について名探偵的な推理を見せるなど、少々バランスが悪い気もします。最後まで刺激的なおもしろさが持続する点では文句なしなのですが。

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