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ミステリの祭典

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そして殺人者は野に放たれる
日垣隆

作家 評論・エッセイ
出版日2003年12月
平均点2.00点
書評数1人

No.1 2点 tider-tiger
(2017/02/28 23:26登録)
「心神喪失」の名の下で、あの殺人者が戻ってくる! 「テレビがうるさい」と二世帯五人を惨殺した学生や、お受験苦から我が子三人を絞殺した母親が、罪に問われない異常な日本。
~以上 Amazon内容紹介より

ミステリ小説でもしばしば目にする精神鑑定。
本作はいわゆる刑法39条反対論が展開されておりますが、その主張が酷すぎる。
刑法39条に異議を申し立てるのが悪いのではなく、事実誤認が多すぎるうえに感情的に過ぎるようです。
内容が酷いだけならスルーですが、内容に反比例してAmazonでの評価がとても高いので取り上げました。
著者は法学部を出ているようですが、法律に関する間違いが散見されます。
著者は精神病の知識もあやふやです。
著者が提示するデータにも間違いがあります。
触法精神障碍者は許せないという気持ちだけが先走っています。

私は、正常 (責任能力あり)と異常(責任能力なし)の区別は意味がないと思います。が、「異常」であれば「事件をなかったことにしよう」という、まさに異常な発想が日本には明治以 来ずっと定着してきてしまいました。
試みに、このアマゾンで「心神喪失」と検索してみると、処遇がらみのものが数点あるだけで、この国には「犯罪」と「被害者」と「心神喪失」を真正面から論じた本が1冊も流通していないことがわかります。
~以上 Amazon著者コメントより

失礼な話です。この問題について真面目に書かれた文献はいくらでもあります。
著者の言葉でいう『異常な発想』とやらは江戸時代よりもはるか昔から定着している考え方で(事件をなかったことにしようなんて誰も言ってはおりません。違法だけど責任はないと言っているだけです)、なおかつ日本だけの特殊な『発想』ではありません。
他の本を探すことを推奨します。

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