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ミステリの祭典

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人魚は空に還る
帝都探偵

作家 三木笙子
出版日2008年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 tider-tiger
(2017/02/24 22:11登録)
創元のミステリー新人賞応募作。最終選考で落選するも書籍化とあいなった表題作に三編を加えた短編集です。
人によって評価が極端に分かれたり、最終選考で落ちたんだけど推す人がいて書籍化、みたいな作品がどうにも気になる質なので、読んでみました。

明治時代を舞台にしたライトなミステリ
傲岸不遜な天才絵師 有村礼と謙虚なお人柄の雑誌記者 里見高広のコンビが帝都で勃発する様々な事件を解決していきます。この二人の仲良くなった切っ掛けは里見が当時英国で人気を博していたシャーロック・ホームズを有村に翻訳して読み聞かせ、有村がそれに夢中になってしまったから。そして、二人の役割分担なんですが、謙虚な高見がホームズで、傲岸不遜な有村がワトスンというちょっとした捻りがあります。
ミステリとしては弱めですが、話作りはまあまあ上手で読み心地は悪くない。特に表題作はいいですね。
ただ、明治の人がとても現代的なのは気になりました。まあそこをつつくべき作品ではなさそうですが。
それから、傲慢なワトスンと謙虚なホームズという図式を崩さないで欲しかったなあ。そのギャップで愉しませて欲しかった。いや、高見さんは謙虚な人柄なんですよ。ただ、謙虚ではない設定(政府高官の養子であったり、剣道の達人であったり)が加算されていくのが個人的には残念だった。キャラを押し出したライトなミステリを好む女性をターゲットにした作品なのかも。
デビュー作だし、読み心地は悪くないのでおまけして6点。

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