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ミステリの祭典

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209号室には知らない子供がいる

作家 櫛木理宇
出版日2016年12月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2017/02/09 22:14登録)
舞台はマンション『サンクレール』で、209号室に住むらしい葵という男の子に関わったばかりに次第に箍が外れて、坂を転げるように堕ちていく女の姿を描いたホラー連作短編集。
葵の不思議な魅力に惹かれてまるで子供に還ったような夫と、葵に夢中な子供。孫がいないため葵を勝手に家に連れ帰ってしまった、若く美しいがどこか普通でない姑、チョコレート中毒が高じて常軌を逸していく女性などが日常的な恐怖とともに描かれています。
そして最終話で葵の謎が明らかになりますが、これがまた粘着質で背筋が凍るような恐怖感と衝撃を読者に容赦なく与えます。怖いです、マジで。それまでの4話を読む限りそれ程でもないかなーなどと思っていると、きっちりやられます。大げさに言えばこの作者のホラーはもう読みたくないとか思えるほどです。でもやっぱり読みたいという矛盾した心境になります。
連作だけにそれぞれの話が最終的に僅かでも繋がってきますが、無理やり感がなくうまく纏め上げた印象が強いですし、思ったよりも根が深く複雑です。

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