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ミステリの祭典

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CANDY

作家 鯨統一郎
出版日2001年11月
平均点2.00点
書評数1人

No.1 2点 Tetchy
(2017/01/22 23:19登録)
本書は祥伝社の企画で全て書下ろしの400円文庫のうちの1冊として刊行されたもの。
いわゆるバトル系の物語なのだが、本書はそんなストーリーよりも鯨氏の言葉遊びを楽しむのが正しい読み方だろう。

とにかく言葉遊びが全編に亘って横溢しており、正直に云って3つの世界のうち1つを救うための戦いというメイン・ストーリーはもはやどうでもいいくらいで、鯨氏が次から次へと繰り出すナンセンスギャグを楽しむのが吉だろう。しかし読者自身を現在住んでいる地球とは異なるパラレルワールドに引き込むために二人称叙述を選択したようだが、あまり成功しているとは云えない。なぜなら主人公の主観がかなり物語に入っているからだ。つまり「あなた」という名前の主人公の三人称叙述のようにしか読めなかった。

しかし前回読んだ『千年紀末古事記伝ONOGORO』でもそうだったが、下ネタ、特にセックスネタが鯨氏の作品にはよく登場する。本書でも必ず出てくる女性はグラマラスかつ美人で、物語の分岐点では意味もなくセックスが介在する。安っぽい三文小説を読んでいるかのようだ。
駆け出し作家が出版社からの執筆依頼に全て応えていた頃に書かれた走り書き小説の類というのは酷評過ぎるかもしれないが、正直何を書きたかったのか作者のテーマがはっきりと見えない作品だった。

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