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ミステリの祭典

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入らずの森

作家 宇佐美まこと
出版日2009年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2017/01/18 22:13登録)
山深き過疎の町、尾峨町の尾峨中学校に勤める都会育ちの教師圭介、尾峨中学に通う数少ない生徒で、複雑な家庭の事情で東京から転校してきた金髪の少女杏奈、仕事に馴染めず逃げ出すように引っ越してきた、農業を営み始めたばかりの隆夫、認知症で入院する淳子とその娘ルリ子。彼らの人生がリンクした時何かが起こる。
森の奥深くに息づくそのものの正体とは一体・・・。
地味に怖いです。ということはあまり怖くないとも言えますが、じわじわと来ます。
平家の落ち武者伝説や、過去の惨劇なども絡んできますが、それほどの緊迫感はなく、いま一つ盛り上がらないまま物語は進行していきます。ところが途中から一気に面白くなります。これがこうなって、そこから、うむそう来ますかって感じで、妙に腑に落ちる語り口が巧妙なことを遅まきながら痛感します。よく練られた構成も作者のしっかりとした実力に裏打ちされたものだと思いますし、本作が単なるフロックでないことは読んでいただければお分かりになるでしょう。

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