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ミステリの祭典

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語りつづけろ、届くまで
坂田勇吉シリーズ

作家 大沢在昌
出版日2012年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 E-BANKER
(2017/01/21 21:08登録)
“日本一不幸なサラリーマン”、坂田勇吉を主人公とするシリーズ。
「走らなあかん、夜明けまで」、「涙はふくな、凍るまで」に続く三作目であり、且つシリーズ最終作(とのこと)。
2012年の発表。

~大手食品会社のサラリーマン・坂田勇吉は新商品を宣伝するため、東京下町の老人会に通っていた。老人たちやボランティアの女性・咲子の心をつかんでいた彼に、健康枕のセールス指導のアルバイトが持ちかけられる。打ち合わせ場所に着いた坂田の目の前には、刺殺体が! ヤクザがらみの厄介な事態に巻き込まれた坂田に危険が迫る・・・~

またも「ヤクザがらみ」の事件に巻き込まれる坂田勇吉・・・というシリーズ定番の展開&プロット。
第一作の「走らなあかん、夜明けまで」が非常に気に入って、続編も手に取ってきたシリーズ。
(巻末解説によると、一作目はハリソン・フォード主演の映画「フランティック」に触発されて書かれた作品とのこと。)
大阪、北海道と坂田が出張先で事件に巻き込まれるという舞台設定から一変。本作は、地元の東京でもわざわざ事件に遭遇することになる。

ただ・・・本シリーズは、二作目からのパワーダウンというか、二番煎じ感(ある種当たり前だが)がどうにも目に付く。
作者というと、どうしても「新宿鮫シリーズ」の孤高で静謐で、かつ熱量のあるハードボイルド、っていうイメージを持ってしまうのだが、それに比べると、プロットの安直さや膨らみのなさがねぇ・・・
シリーズを打ち切るという作者の思いもよく分かる(気がする)。

シリーズキャラクターの造形にも、どうにも「想い」が込められていないよなぁ・・・
「今どき、こんな冴えないっていうか、不器用なヤツ」っていうのが、どうにも共感できないっていう気持ちになる。
まっ書き方次第なんだろうけどね。

結構分量はあるのだが、中身はそれほど・・・
「鮫」の続編に期待!っていうところだ。

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