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ミステリの祭典

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千年紀末古事記伝 ONOGORO
千年紀末古事記伝シリーズ

作家 鯨統一郎
出版日2000年10月
平均点3.00点
書評数1人

No.1 3点 Tetchy
(2016/12/25 23:51登録)
さほど古事記、日本書紀に詳しくない私でも昔話等で語られる天照大御神が天岩戸に閉じこもる話、ヤマタノヲロチ討伐の話、因幡の白兎の話についてはある程度知識があったが、本書ではそれらが微妙に異なっている。
しかし物語はどんどん進む。どんどん神々は誕生し、どんどん時代が過ぎ去っていく。

ただ本書は歴史ミステリよりも別の目的で書かれたのではないだろうかと推察する。
稗田阿礼によって語られる神々の営みはほとんど全てが男女との交合(まぐわ)いによって構成されているからだ。
日がな一日、来る日も来る日もセックスに明け暮れ、子を産んではまたセックスと、交合ってばかりだ。次第に神も余計な物を敢えてつけて伊邪那岐が寝ている最中に伊邪那美と交合う。更に伊邪那美は自分の生んだ神々とも交合い、更に子を産む。

私は神の物語と称して一種のポルノ小説を書くことが鯨氏の本当の狙いだったのではないかというのが感想である。

問題作?いやいや鯨氏特有の壮大な冗談話でしょう。しかも物凄い量の知識と情報を収集した上で語られるジョークだ。この作品の登場人物を全て確認したとき、鯨氏がこの冗談話に費やした労力に恐れ入ることだろう。これぞバカミスの真髄とも云うべき作品か。労力の割には評価に繋がらないところが非常に残念ではあるのだが。

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