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ミステリの祭典

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輝天炎上

作家 海堂尊
出版日2013年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 E-BANKER
(2016/12/03 20:36登録)
2013年発表。
「チームバチスタの栄光」以降、綿々と続くシリーズの到達点とも言える作品。

~桜宮市の終末医療を担っていた碧翠院桜宮病院の炎上事件から一年後、東城大学の劣等医学生・天馬は課題で「日本の死因究明制度」を調べることに。同級生の冷泉と取材を重ねるうち、制度の矛盾に気付き始める。同じ頃、桜宮一族の生き残りが活動を始めていた。東城大学への復讐を果たすために・・・。天馬は東城大学の危機を救えるのか? シリーズ史上最大の因縁がいま解き明かされる!~

本作は、碧翠院事件の顛末について語った「螺鈿迷宮」の続編的位置づけの作品。
「螺鈿・・・」で主役を張った劣等生・天馬が再び本作では主人公&視点人物として成長した姿を読者に晒すこととなる。
前作で死んだはずのすみれ・小百合のふたりの生死が本作のプロットの軸となっている。
(結局すみれの方は実体なのか或いは・・・?)

本作は同様に「ケルベロスの肖像」(既読)の裏表となる作品ということにもなっている。
「ケルベロス・・・」では物語の終盤、突如として天馬やら桜宮一族らが姿を見せるのだが、その理由と背景が本作では語られることとなる。
ただし、作者の言いたいことは、死因究明社会であり、それを実現可能とするAiの導入ということは相変わらず。
既存勢力VS新興勢力の争いが今回も繰り返されることになる。

毎回思うけど、この海堂ワールドはスゴイよね。
本作でも他作品に登場した人物が数多く再登場。
他作品で触れられたアノことやアノことが、実は伏線でありこういうところに繋がっているという箇所がそこかしこ!
この世界観の構築だけでも作者のスゴさが分かろうというものだ。

本作はどうだって?
まぁ良いではないですか。
伏線に気付くだけでも本作を読む価値はありでしょう。
でも本作を最初に読むことはお勧めしません。順番に読んでこそのシリーズ。

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