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ミステリの祭典

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鞆の浦殺人事件
浅見光彦

作家 内田康夫
出版日1988年04月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点
(2016/11/16 17:08登録)
本作では序盤に、作家・内田康夫がいつも以上に、中心人物であるかのごとく多くのページに登場しています。後半には浅見が内田の作品を評する場面もあります。
意外な人物を犯人にすることはあっても、インチキ同然の露骨なひっかけをしない、いい人間と悪い人間とを色分けする、などと浅見が内田作品を評しています。
これは浅見の言葉を借りて自身をほめているように聞こえます。本作の後半、イマイチかなと感じ始めたころだったので、凝った作りにしないことの言い訳にも聞こえました。

ということで評価は当然高くありません。終盤が駆け足すぎです。浅見の推理が出来すぎということなのか。
舞台が福山市の鞆の浦から、東野氏の『真夏の方程式』の玻璃ヶ浦を連想したこともあって、期待したのですけどね。
福山の「N鉄鋼」はあからさまです。これほどわかりやすいと悪く書けないから、企業絡みの社会派ミステリーとしても中途半端な感があります。

序盤から中盤にかけての、内田の登場、事件の発生、浅見の捜査の取りかかりぐらいまでは引きこまれます。テクニックは抜群です。中盤の捜査と終盤の謎解きに、もう少しページ数を割いてくれればという気がします。

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