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ミステリの祭典

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極限トランク

作家 木下半太
出版日2016年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2016/10/30 21:44登録)
私こと耳原(みのはら)敏夫は走行中の車のトランクに全裸で閉じ込められていた。口にガムテープ、手足を拘束されて。さらに傍らにはハイヒールを履いただけの半裸の女が横たわっており、彼女は冷たくなっていた。こうした人生最大のピンチともいえる究極の状況から物語は始まる。
なぜ彼がこのような苦境に立たされなければならないのか、それはネタバレになる恐れがあるので詳しくは書けないが、彼の妻と娘が関係しているらしいのだ。
ストーリーは息苦しくなるようなトランクの中と、その原因を引き起こした彼の行動、妻との冷えた関係や二人の過去が目まぐるしく入れ替わり、濃密なサスペンスを生み出している。
さらに物語が進行するにつれ、意外な事件の全容が明らかになってくるという仕掛けである。
面白いのだが、あっさりし過ぎていて、粘着質な描写などは期待してはいけない。サラリと読んで、さっさと忘れるような軽い作品なので、過度の期待は禁物である。終盤にはどんでん返しとも呼べないほどの、ちょっとしたオチが現出するが、予測の範囲内であろう。

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