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ミステリの祭典

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宿敵

作家 明野照葉
出版日2014年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 斎藤警部
(2016/10/26 00:05登録)
なんとも女臭い、犯罪と日常のサスペンス集。陰鬱なストーリー展開の筈が、何処かで希望の光が覗く作品が多い。 男子受けは良くないかも。

「月を撃つ」 ※サスペンス
土屋隆夫が書くオチ話みたい。水商売を営む年増と、彼女に拾われた若い女と、そいつを追い掛け回す男。人間ドラマとしてはともかく、ミステリとしては浅い浅い。

「NOBODY」 ※日常の社会派サスペンス
日常の謎はミステリだが、日常のサスペンスはミステリ枠に入ったり入らなかったり。これは入らない。でもミステリ好きに受ける。遠縁の老女を最期まで看取らされた経験を活かし、或る商売を始めた女。とにかく面白い。

「在星邦女 ワイヴス・イン・シンガポール」 ※サスペンス
奇襲の連城POSSEっぷりにヤラれた。日本での或る過去から逃れようと、近々シンガポールに駐在する男をわざわざ選んで結婚した女。それを追う或る男。 エンデンィグには「女だぜ。。」と苦笑いだが、二部構成の企みは「女だな。。」と唸らせる。本書でいちばんの高評価。これは本サイトの皆様に薦めたい。

「満願の月」 ※日常のサスペンス
前出の「NOBODY」と異なり、ミステリ枠に入る日常のサスペンス。妹や何やに鬱屈した思いを抱く、そろそろ若くもない女の日常。やはり前出の「在星邦女」同様、盲点の方向から襲い掛かるまさかの反転が見事だが、それが更に希望の方向へ突き抜ける構造なのが印象的。なのに、何処かしら緩い。

「宿敵」 ※日常のサスペンス
表題作は、、冒頭近くで明かされる「或る事」が最後の直前まで伏せられていたらミステリ枠に入ってたね。でもそんなあざといやり方は取らずともきっちり愉しませてくれました。本作だけはあらすじに触れません。

以上です。

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