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ミステリの祭典

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姿なき殺人
ネル・ブレイシリーズ

作家 ギリアン・リンスコット
出版日2003年06月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2016/10/03 01:52登録)
(ネタバレなしです) リンスコットは20世紀前半の英国を舞台にして女性人権活動家のネル・ブレイシリーズを11作書きましたが、1999年発表の本書はシリーズ第8作です。作中時代の1918年に女性参政権が認められての初の総選挙が実施されんとしていて、当然ネルも議員への立候補を検討していましたが有力な後ろ盾がありません。そこへ思わぬ救いの手が差し伸べられますがそれはネルの探偵としての手腕をあてこんでの立候補援助だった、というのがプロットです。選挙戦と探偵活動の両立という点ではエドマンド・クリスピンの「お楽しみの埋葬」(1948年)やアリサ・クレイグの「山をも動かす」(1981年)と共通していますが、本書は物語の3分の2ぐらいまではどちらかといえば選挙の方に重きを置いて描かれています。とはいっても本格派推理小説としての謎解きを放り出しているわけではありません。人物描写も巧みだし文章も読みやすいです。ただ講談社文庫版に(ネタバレになるので具体的な内容は書きませんが)大きな欠点があったのは残念です。

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